コーヒーと会話がある日常。フラットホワイトという居場所|FLATWHITE COFFEE FACTORY

フラットホワイトという居場所

“人が主役”のカフェ FLATWHITE COFFEE FACTORY。
昨年末に高森から紫山に移転し、より開放感のあるお店に生まれ変わった人気のカフェ。
店のドアを開けた瞬間、鼻をくすぐるコーヒーの香り。
そして、開放感のあるフロアにはたっぷりの日差しと、たくさんのお客様の楽しそうな会話。
カウンターの向こうから、「いらっしゃいませ」と丁寧に、素敵な笑顔で迎えてくれたのは、FLATWHITE COFFEE FACTORY共同創業者の中澤美貴(なかざわよしたか)さん、通称ミッキー。
「コーヒー屋さんに来た」というより、誰かの場所にお邪魔している、そんな感覚になりました。
その理由は、ミッキーさんのこれまでの歩みと、街への向き合い方に答えがありましたよ。
銀行員を辞め、29歳で踏み出した一歩

ミッキーさんは、もともと銀行員でした。
三和銀行の銀座支店に勤務し、安定したキャリアを歩んでいた20代。
29歳のとき、銀行員の同僚とともに独立を決意します。
挑戦したのは、日本ではまだ知られていなかった、タリーズコーヒーの立ち上げ。
銀座4丁目という一等地に、1号店をオープンさせました。
実はミッキーさんは、タリーズコーヒーを日本に持ってきた創業者のお一人なんです。
今でこそチェーン展開が進んでいるタリーズですが、オープン時は慣れない作業で大忙し、苦労の多い日を過ごしたそうです。
順調に見えたスタート。
しかし、お母さまがアルツハイマーになってしまったこともあり、ミッキーさんは、タリーズは共同創業者に任せて経営から身を引かれたそうです。
30歳を迎え訪れた試練、「やりきれなかった」という思いと、次に進まなければならない現実でした。
英語を学びに行った先で、人生を変える文化に出会う
介護のために山梨の実家に戻ったミッキーさん。
タリーズ創業に金銭的にも集中させていたので、介護に専念というワケにもいかなかったミッキーさんが選んだのは、ニュージーランドへのワーキングホリデー。
理由はシンプル。
英語が話せるようになりたい。海外で、もう一度ゼロから自分を作り直したい。
そう思ったミッキーさんは、お母さまの病気の進行が緩やかになったこともあり、父親に気持ちを打ち明けたそうです。
そこでお父さまは、介護を引き受けミッキーさんの背中を推してくれたんだとか。
ニュージーランドでは、語学学校に通いながら、オークランドのカフェでバリスタとして働く日々。
最初は言葉も通じず、接客も思うようにできなかったそうです。
それでも、現場に立ち続ける中で、少しずつ「カフェの役割」が見えてきました。
フラットホワイトとの出会い

現地のカフェで日常的に飲まれていたのが、フラットホワイト。
フラット=平ら、ホワイト=ミルク
カフェ文化に疎い私に、ミッキーさんは優しく教えてくれました。
フラットホワイトの語源は、"ミルク入りのコーヒ=ホワイトコーヒー"から来ているんだそう。
’90年代中盤からのエスプレッソマシーンの普及により、牛乳がスチームミルクへと変化し、ホワイトコーヒーはイノベーションを起こし、表面が平らなミルクコーヒーが生まれ、人々はそれを『フラットホワイト』と呼んでいった…
「現地のカフェでは"フラットホワイト"と英語で呼ばれていますが、そういえば、スタバもタリーズもホワイトコーヒーのことを"ラテ"って、イタリア語の名前を使っていますけど…」と聞く私に、
「"ラテ"と呼ばれるドリンクが、ニュージーランドでメジャーになる前に生まれたドリンクだから、現地では"フラットホワイト"と親しまれてる」とミッキーさんは笑顔で語ってくれました。

フラットホワイトとは、エスプレッソに、きめ細かなマイクロフォームのスチームミルクを注いだ一杯。
見た目はラテに似ていても、泡立ちや口当たり、ミルクの存在感がまったく違う。
泡は控えめ、ミルクはなめらか。
「派手じゃないけど、毎日飲める」そんな存在。
現地では、特別な名前として語られることもありません。
ただ、生活の一部としてそこにある。
ニュージーランドのカフェは、朝・昼・夕方と同じ人が一日に何度も訪れる。
そこは「飲食店」ではなく、街のリビングそのもの。
この距離感が、ミッキーさんの心に深く残りました。
コーヒーは脇役。主役は、人と人の時間

ニュージーランドのカフェでは、同じ顔ぶれが一日に何度も店を訪れます。
朝、コーヒーを飲みに。昼、軽食を取りに。夕方、誰かと話しに。
そこでは、「何を飲むか」よりも「誰と過ごすか」が大切にされていました。
ミッキーさんは、そこで気づきます。
コーヒーは、会話のきっかけにすぎない。主役は、そこに集まる人たちなんだ。
この感覚は、日本に戻ってからも、ずっと心の中に残り続けました。
バリスタとして働くうちに、ミッキーさんは料理の面白さにも引き込まれていきます。
現地で覚えたエッグベネディクト。
キッチンに立つ時間が増えるにつれ、「食事も含めて、居場所をつくりたい」と思うように。
やがて、ニュージーランドで以前通っていた語学学校(生徒数600名超)のカフェテリア、日本料理をフィーチャーしたレストランバーなどをオークランド市内でオープン。
コーヒーと食事、どちらも“主役にしない”。
その場に集う人たちの時間を、そっと支える存在として提供する。
この考え方は、今のフラットホワイトにもそのまま受け継がれています。
「この街なら、じっくりやれる」

帰国後、日本で出店場所を探す中で出会ったのが、泉パークタウンでした。
仙台=街中、というイメージとは違い、ここには森があり、緑があり、空が広い。
ニュージーランドで見てきた風景と、どこか重なるものを感じたといいます。
「流行を追う場所じゃない。 でも、長く続けるには、こういう街がいい。」
そう感じて、高森に店を構えました。
オープン当初、お客さんからかけられた一言。
「こういうお店が、欲しかったんです。」
その言葉で、「間違っていなかった」と感じたそうです。
カフェというより、人が集まれる場所。
それが、この店の役割だと。

フラットホワイトには、若い人だけが集まるわけではありません。
子ども連れの家族、仕事を終えた大人、友人同士、ご年配の方。
地域の小学生が校外学習で訪れるなど、世代を超えて、それぞれが自然体で過ごしています。
そして、ミッキーさんはスタッフさんを「メイト」と呼びます。
上下関係ではなく、同じ場をつくる仲間。
料理のレシピも、ミッキーさんとメイトたちで話し合いながら決める。
店舗が増えた今も、共通して大切にしているのはホスピタリティ。
「サービスは、人がつくるもの」
その言葉は、お店の空気で伝わってきます。
デ・ニーロの“デ”

ミッキーさんとの話は楽しく、ついつい盛り上がっちゃいましたが、せっかくフラットホワイトに来ているんだから美味しいコーヒーを飲みたい!
ということで、メニューを見ながらふと気になったドリンクをミッキーさんに尋ねました。
「ホンジュラス フロル・デ・カフェ ウォッシュド… これってデカフェ(カフェインレス)ですか?」
と聞くと、少し間を置いて、こんな返し。
「デカフェの“デ”じゃなくて、ロバート・デ・ニーロの“デ”ですよ」
そっちの“デ”ですか〜(笑)
ミッキーさんは、映画好き。そして、『ゴッドファーザー』が好きなんだそうです。
音楽も好きで、ストーンズ好き。
ここでは、「ストーンズといってもSixTONESではなく、元祖の方ね」とユーモア溢れるミッキーさんでした。
コーヒーだけじゃないフードもこだわりが詰まってる

FLATWHITE COFFEE FACTORYで印象的だったのは、フードも美味しい!ってこと。
ミッキーさんは、「コーヒーは脇役、主役は人」と言ってましたが、コーヒーもフードも主役級のおいしさでした。
この日いただいたのは、フラットホワイトを象徴する一杯と、食事メニューを2品。
フラットホワイト’98
原点を思い出させてくれる一杯。
まずは、店名を冠した 「フラットホワイト’98」。
この“98”は、ミッキーさんがニュージーランドで初めてフラットホワイトに出会った 1998年 に由来しているそうです。
エスプレッソに、きめ細かなマイクロフォームのスチームミルク。泡は控えめで、口当たりはとてもなめらか。

フレンチトースト
甘さと塩気、その“ちょうどいい間”。
続いていただいたのが、フレンチトースト。
ベーコンとバナナ。正直、最初は少し意外な組み合わせに感じました。
でも一口食べてみると、その印象はすぐに変わります。
やさしい甘さのフレンチトーストに、ベーコンの塩気と香ばしさ。そこにバナナの自然な甘みが重なって、思っていた以上にバランスがいい。
甘すぎず、重すぎず、朝でも昼でも食べたくなる味。
「コーヒーと一緒に、ゆっくり食べたい」そんな一皿でした。

茄子のボロネーゼ
カフェの食事、という枠を超えて。
もう一品は、ボロネーゼ。
ミートソースに、茄子、チーズ。シンプルな組み合わせですが、見た目も味も丁寧に作られているのがわかるパスタでした。
茄子のやわらかさとソースのコクが合わさって、食べ進めるほどに落ち着いていく味わい。

どれもとっても美味しかったです♪
地域No.1…

ミッキーさんの目標は、「地域No1のお店」
FLATWHITEの店舗は、東北に10店舗を展開しています。
そして、この泉パークタウンがスタートの地。
ここで生まれ、ここに根を張ったお店です。
ミッキーさんが考える地域No.1とは、売上や規模の話ではありません。
「地域とちゃんと向き合い、地元の人に愛され続けること」
「地域にちゃんと必要とされているか。また来たいと思ってもらえるか。」
それがすべてだといいます。

最後に、泉パークタウンで好きな場所を聞くと、
「5月に鯉のぼりが並ぶ、キャラウェイの前の高森東公園かなぁ、鯉のぼりも桜も、季節がちゃんと見えるのが好きなんです。」
そう答えてくれたミッキーさん。
その言葉は、なんだかこの店のあり方と重なっているように感じました。
フラットホワイトは、コーヒーの店である前に、人の居場所。
こだわりはあるけれど、押し付けない。
人が主役で、会話が生まれ、地域と一緒に歳を重ねていくカフェ。
毎日の中にあってほしい場所 “デ” した。
デ・はでは。

FLATWHITE COFFEE FACTORY flagship(泉店)
場所 泉区紫山1-1-4 紫山プラザ
営業時間 9:00〜19:00
定休日 なし
電話 022-341-3452

この記事書いた人
よっしー
人・もの・コトとの出会いが好き。
その場所に流れている空気や、何気ない会話の中にある誰かの「想い」を、そっと見つけて伝えていけたらと思っています。


